サッカーJリーグ2部(J2)は6、7日の第26節で4回総当たり戦のリーグ戦の前半戦を終え、昇格争いはいずれも過去にJ1で戦った経験のある6チームを中心にした争いになってきた。後半戦で一段と激しさを増しそうだ。1年でのJ1復帰を誓う京都サンガFCは、26節で2位に再浮上。22―25節には快勝を続け4連勝するなど上り調子だ。サンガの現状を点検するとともに、ライバルたちを分析し昇格争いの行方を展望した。
第1クールで5位だったサンガが2位に再浮上した最大のポイントは、攻撃陣の決定力アップ。FWパウリーニョが第2クールだけで8得点し、J2得点ランク首位に躍り出た。徳重、
倉貫らMF陣のミドル弾も試合を決定づける。得点力が増したのはチーム全体のボールを追う動きが良くなり、相手陣でボールを奪って速攻チャンスが増えたからだ。守備陣もラインを押し上げ、コンパクトな陣形で主導権を握れるようになった。
第1クールは「格下」とみた相手に勝ちきれず、5勝5分け2敗と苦しんだ。メンタル面、攻守の連係という課題を改善できた結果が、第2クールの8勝1分け3敗という好成績に表れた。第24節の湘南戦で先制されても焦らずに4-2で快勝したのは、メンタル面が安定してきた証しだ。結果的に、序盤戦で勝ちきれない苦しさを重ねたことが糧となった。
美濃部監督は「今までやってきたことが結果として出るようになった」とチームの成長を語る。
昇格を争うライバルたちの戦いぶりを見ると、首位を快走する札幌は守備戦術の徹底が奏功し安定したペースで勝ち点を積み上げてきた。1-0の勝利は8度(サンガは2度)で、すきを突いて先制すれば、あとは守りを固めて逃げ切るのが札幌の得意パターンだ。
昇格を争う他のチームはサンガと同様に前線から積極的にボールを奪いに行く戦術が中心。はまれば大量得点できるがカウンターのリスクもあり、連係の不振から連敗に陥るケースも多い。第1クール終了時首位だった福岡は、4連敗などが響いて4位に後退。2位だった山形は選手層の薄さに泣き、故障者が相次いだ第2クールは5連敗などで8位に転落した。
開幕から11戦無敗を誇った3位仙台は、第2クールは7勝5敗と勢いに陰りがみえる。東京Vは第2クールが8勝2分け2敗とサンガ以上の好成績で追い上げるが、第1クール7連敗のダメージは大きく5位に甘んじる。
上位の順位は第1クール終了時から大幅に入れ替わった。上位チームは勝ち点差と同じように戦力差も小さく、後半戦も順位はかなり変動するだろう。J1自動昇格は2位以上で、3位はJ1の16位との入れ替え戦となる。サンガとしては、勝ち点25を稼いだ第2クールと同様に第3、第4クールでも、それぞれ8勝ペースを守れば自動昇格できる2位以内が現実的になる。
好調とはいえ、後半戦に向けサンガには課題も多い。J2屈指の実力を備える攻撃はまだ個人能力で突破するシーンが目立つ。MF
倉貫は「個の力でJ2を勝ち抜けたとしても、J1では簡単に通用しない。ボールを動かす連動性をもっと高めなくては」と指摘する。守備面でも、1点だけのリードでは安心できない状態だ。DF秋田は「やらなければいけないことはたくさんある」。戦力の底上げのために開幕スタメンだった
安藤、中山らの若手の主力組への復帰も待たれる。
後半戦は互いに研究し尽くして、長所を思うように発揮できない試合も増えるだろう。
美濃部監督は「攻撃は水物だし、目立てばマークされて抑え込まれる。だから1番大事なのは守備」と、安定感のあるチームへの成長を誓う。